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Story

2024年4月22日 (月)

「船上の鳥たち」

ねぇ、聞いた聞いた?

クックックとニワトリが言う。

なんだいなんだい?
なんか美味しいもんが空から降ってきたとか?
そりゃないだろ~、空からは雨が降るもんだ。
そう言やぁ、きのうの雨はすごかった。
知ってる知ってる。
甲板の上に水が流れてたもんなぁ。
流れてたのは、海の水かい?雨かい? 
おれたちの小屋もあっちへツルーーこっちへドーンと甲板の上を行ったり来たり、な。
ありゃぁこわかった、小屋ごと海に落ちちまうかと焦ったあせった。

ガァガァガァとアヒルたちはおしゃべりをする。

空から降ってきたんだけど、美味しいもんじゃないそーだ。
鳥だとよ。鳥が空から降ってきたんだとよ。
クックック。

へーーーーーーーーーーーっ! 👀
鳥なら、おれたちも鳥じゃないか。
鳥が空から来たってか?!
鳥が空を飛ぶのかい? なんのジョークだ! 
おれたち鳥だけど、空は飛べないぜ。
ったく、鳥が空を飛ぶのかよ。そんな鳥がいるのかよ。聞いたことも見たこともないね。その、降ってきたのは、ほんとに鳥なのかい?
ガァガァガァ。

空を飛ぶ鳥も、いるのさ。

シチメンチョウはぷぅーっとふくらんで我が身を示す。

わしは、この鉄格子の隙間から見たことがある。
羽を、こう、広げてな、空の上の上のほうにうかんで、とんでいったのさ。
速くてすぐに見えなくなったがな、あれはたしかに鳥だった。
ぷぅーっ。
飛べる鳥もいるのさ。ぷぅーっ。

そこへ、船のボーイが鳥たちの小屋の扉を開けた。
しばらくここへ入っていな。
と、見知らぬ鳥を投げ入れた。

みなさん、ごらんなさいな!空飛ぶ鳥じゃありません?
とニワトリたちがいっせいに言う。
おまえはだれだい、空から落ちてきたってぇのは、おまえかい?
とシチメンチョウ。
早く言いな。早く言いな。ガアガアガア。
あとずさりしながらもさわぎたてるアヒルたち。

すると、空飛ぶらしいその鳥は外国の話をした。
暖かいアフリカのこと、ピラミッドのこと、砂漠を野馬のように走るダチョウのこと・・・・。

なんだそれ。なんの話だい?
空をとべるんだかなんだか知らないけどよぉ、おれたちが何にも知らないと思ってやがる。
どうだいみんな、こいつがばかだと思うだろう!
うんたしかに。こいつがばかだよ。

クックッガアガアぷぅーっ。

おい、ちょいとからかってやろうぜ。ぷぅーっ。
空飛ぶ鳥さんよぉ、おまえさんはきれいな細い足をしているねぇ。50センチでいくらするんだい?

・・・・・・。

なんだい。無視かよ。おれにしちゃぁ、しゃれたつもりなんだけどよぉ。
おれたちはおれたちだけで、ゆかいにやろうぜ!ぷぅーっ。
あいよーー。クックックッ ガアガアガア 。

まったくもって、船の上の鳥たちは、騒がしい。

ヤルマールという少年がやって来て、小屋の扉を開けてこう言った。
さ、コウノトリくん、もうからだも休まったろう。出ておいで。
空飛ぶ鳥は、少年にお礼を言いたそうに、うなづいた。
それから、つばさをひろげて、大きな空へ飛んで行った。

あーーーあ、行っちまったよ。クックックッ。
ほんとに飛べるんだ!、空。ガアガアガア 。
あいつ、また暖かい国へ行くのかなぁ。ぷぅーっ。

小屋の中の鳥たちは、その日から、
1度でいいから飛んでみたい、空から船を見たらどんなだろう、暖かい国へも行ってみたいなどなど
エンドレスに話をした。

そして、小屋の扉は毎日開かれ、一羽ずつ、船の、暖かい台所へ連れていかれた。

      *ご存じでしょうが、一応、書いておきます。この話は、フィクションです。

 

 

2024年2月20日 (火)

「ハリーへの伝言」

さあっ、皆さまお待ちかね「あの人へ伝言」の時間がやってまいりました。
今夜の伝言相手、ゲストは、今をときめくハリー・かがり屋さんです✨

ここでさっそく皆様にお詫びせねばなりません。

ハリー・かがり屋さんですが、超多忙のためまだスタジオにおいでいただけていません。

急ぎここへ向かっておられるということなので、番組の途中でご出演ということになります。
いましばらくお待ちください。

さて、ハリー・かがり屋さんと言えば、その名の通り、かがり縫いの名人です。革製品、カバンや靴から帽子にいたるまで、その丁寧な仕事ぶりは世界中で有名です。作家のアイデアを一瞬にして察知し、繊細かつダイナミックな縫いかたを製品に反映できる数少ない職人です。

いまTVをご覧のみなさんが、ひとつカバンでも欲しいなぁとお思いになるとしましょう。その製品を購入するには、注文してからなななんとっ10年も待たなければいけないという超人気の売れっ子職人とも言えるでしょう。

え・・・っと、ハリー・かがり屋さんは・・・・まだ到着されていませんか。。。。

それでは、皆さんからたくさんいただいたハリーさんへの伝言をご紹介することにしましょう。

「キャーッ、ハリー・かがり屋さんがテレビに出演されるのですって?
 わたくし、ハリーさんの作ったバッグのとりこなんですぅ。」

「ずっと以前に、ハリー・かがり屋さん仕上げの靴を注文したんですが、まだ届きません。
人気あるので、なかなか順番がまわってこないのです。早く、あの靴を履きたいです。」

ハリー・かがり屋さん作の、ブックカバーを持っています。
とても使いやすいです。子どもや孫の代まで、譲り、使ってもらいたいと思っています。」

「ハリー・かがり屋さんの製品は見たことがあるのですけれど、ハリーさんご自身を見るのは初めてです!
どんな方なんでしょう。楽しみです。早く、来られないかな?」

他にも多数の伝言・手紙がFaxなどで送られてきています。
番組始まってから今までの10分間で、すでに5千通も届いています!

あ! ご本人がスタジオに入られたようです!
みなさん、お待たせいたしました。
かがり縫いの名人、ハリー・かがり屋さんのご登場です!

「すみませ~ん、遅れました。ハリー・かがり屋でございます。」

満を持してのご登場、お忙しいところ、ありがとうございます。
今までにも、視聴者の皆さんからたくさんのメッセージが届いています。

「ありがとうございます。ひとつずつ、読ませていただきます。」

ところで、ハリー・かがり屋さん。
丁寧なかがり縫いで有名ですが、ひとつの製品を完成させるのにはとても時間をおかけになるのでしょうね。

「そうですね。私の時間を仕事につかうことができて幸せです。でもね、」

はい。

「わたくし、」

はいっ!

「ほんとうは、」

ほんとうは?

「わたくしほらこんなに細くて華奢でしょ?
ほんとうは、縫い針なんですの。」

ん~~~~、と。

「こういう豪快な縫い方は実は性に合いませんの。

絹のドレスを縫い上げるのが私の本業なのにいつ注文が入るのかしら。
ま、今の’かがり製品’の注文仕事を終えてから、とりかかることにいたしますわ。」

ありがとうございます。
コマーシャルの後は、ハリー・かがり屋さん作の製品の数々を、テレビをご覧のみなさんにも見ていただこうと思います。

それでは、コマーシャル ♪

 *この話は、4月朗読公演「アンデルセンワールド」に出てくるオーレ・ルゲイエが語る「あんまり細いので縫い針だとうぬぼれているかがり針の話」はどんなかな~と思いめぐらせて作りました。

 *コマーシャル後の番組は、ご想像におまかせします。<m(__)m>

    

2024年1月31日 (水)

「おなじさやのなか Ⅵ マメ」

気づいた時にはひとり。でも、不思議なんだけど、なんだか楽しいなぁ。

と、末っ子 真芽はじみじみ思う。

ニワトリが傍にいるし、この船はがっしりしている。

ニワトリは、ずっとそばにいてくれるね。それに毎日、虹色の卵を産んで、私を助けてくれる。
きみ、どこから来たの?

この船も、気づけばここにあって、私を守ってくれる。
どんなに流れが速くても、どんなに波が高くても、ぜったいひっくり返らない。
いつもありがとね。この船は、私の家だよ。

.

あの日、落ちてきたニワトリは、壊れた豆の木の上に乗っかった。傍には真芽が寝ていた。
壊れた豆の木には、メゾーという刻印がついていた。

今や真芽の友達でもあるニワトリ。豆の木の上にあった城からジャックが盗もうとしたものだ。
船の上でも、毎日1個 虹色の卵を産んだ。

この卵は不思議な卵。中からは、日々、 真芽に必要なものが出てきた。
ある日は食べ物が、ある日は雨風しのぐ壁や屋根、またある日は成長に合わせた衣服。。。
そして、美しい声・楽しいメロディー・豊かな発想・思わず誰もが振り返る笑顔!

真芽は、シンガーソングライターとして活躍するようになった。
その名は、メゾー・真芽。

例えば、缶詰め会社のコマーシャルソング。
♪ まめまめ印の、メジー缶 ♪
は、世界中の子ども達が口ずさんでいる。

それから、各方面のプロデュースも手掛けるようになった。

例えば、MAMETAという豆をブランド化して売り出すアイデア。

力を貸したのは、ネットに詳しいシメ。彼が、豆の品種改良・研究にもひと役かっているのは有名だ。

実はシメが、メゾー・真芽の情報を得、力を貸そうと申し出た。今や、真芽の仕事仲間である。

真芽は、思う。

私はとっても幸せだ。
それに時々 眠る前に聞こえてくる楽しい話声があるの。賑やかで楽しくて、嬉しくなるの。

.

「あんちゃ~~~ん、またメゾーがマメを泣かせてますぅーーーっ!
おう。もうほっとけ。
いっいいんですかぁ。
ぅぇ~~~っえっえっ。
ちっちゃい妹を泣かすな!
おれよりちょっと早く生まれたからって、えらそうにすんな。
そうですよ、たたいちゃいけません、たたいちゃ。
迷惑かけないよう、真面目に生きてますがなにか。
まめまめ~~~~。(^○^)
まめまめ~~~~、ってなんだよ、まめまめ~~~~って。
おーーい、いい加減にしないか! アンチャンは、おまえたちに水と栄養を配らなくちゃならないんだ。豆次までいっしょになってなにやってんだ!
やってんだ。(^○^)
ちぇ。おれっていつも損な役まわり。
損と言えばおれだろう。いっつも怒られてばっかで!
僕でしょ。あれ?陽がかげってきましたね、水と栄養だけじゃ、僕たち大きくなれません。20240131
んだとぉ~(-_-メ)、あのな、おなじさやの中で暮らしてて、みんな自分のことばっか言ってんじゃねぇーーっ!!」

(_  _).。o○ 💤

     ーーー the  end ーーー

オーレ・ルゲイエの「五つぶの青いエンドウ豆の話」は、こんなのじゃなかったのでしょうが、ま、こんなんも、どんなもんでっしゃろ?

*この話は、造り話です。参考にした話や人物及びその国・時代とは関係ありません。

*朗読先生のブログKagari’sRoomで、これらの記事Storyをリンクしていただきました!

 

2024年1月28日 (日)

「おなじさやのなか Ⅴ シメ」

要するに、

と、四男 豆〆(まめしめ)は深呼吸して考えた。

みんながそれぞれに生きてくことになった、ってことですね。さてボクは、どうしますかね。

サヤからはじけた瞬間、これだけはとはなさなかったIpadをおもむろに開けてみる。

お、壊れてません ♪ かなりの衝撃だったからもうだめかと思っていましたが。
インターネットは、、、、これもなんと、使えます!

豆〆はネットで兄妹達を探そうとしたが、それはできなかった。。。
探せないと知った時、豆〆は急に淋しくなった。

ボクたちがはじけたのは、サヤの保持力より風の威力のほうがまさっていたからですが、
あのとき最後にボクが「水と栄養だけでは育っていけない」などと言わなければ、アンチャンはあんなに怒らなかったでしょう。ボクの一言が、たとえそれが正しかったのだとしても、アンチャンの苦労を踏みにじるようなことになってしまったのですね。

考えながらネットサーフィンしていると、こんなページを発見した。
「メンデルという学者が、エンドウの交配実験から遺伝の法則を明らかにしようと研究している」
というニュースだった。

豆〆は、この研究の力になりたいと、むしょうに思った。

今まで、サヤの中だけで豆データを集め記録してきた。
それは、腕力もなく口がたつわけでもなく、おまけのように生まれてきた自分が、唯一、楽しめることだった。唯一、自分で自分を認めることができることだった。

しかし今はちがう。

このメンデルという学者の研究が、ボクたち豆の役に立つのなら、なにか自分にできることをしたい。心からそう思った。そして集めてきた豆データを、この学者へ送信した。学者と意見を交わしたりもした。

こうして、豆〆は、遺伝法則研究の一助となったのである。
歴史表には現れないが、‵豆〆の一助’と言えば、知る人ぞ知る有名な話だ。

この研究は、豆農家の復興にもつながった。
嵐で豆畑が荒れてしまい意気消沈していたところ、このニュースが励みとなった。立派な豆を作ろうと何年も頑張り、MAMETAというブランド豆生産に成功したのだった。

.

アンチャン、少しでも、育ててもらった恩返しになったでしょうか。。。20240128
豆〆はそう書き込み、Ipadをそっと閉じた。

.

*オーストリア帝国(チェコ)のグレゴール・ヨハン・メンデルと、この話の内容はかかわりありません、念のため。

   ~~~もうちょい続く~~~

2024年1月27日 (土)

「おなじさやのなか Ⅳ メゾー」

豆蔵は、伸びをした。
くっそぉーーー。こんな狭いところでじっとしていられるかよー。
伸びてのびて伸びてのびて・・・・気づけば、地上を見下ろしていた。背は伸び、雲をも越えた。
身体もがっしり太く頑丈になった。

豆太は振り返る。
5つぶがバラバラになったのは、風が吹いたとはいえ、言ってみりゃぁ、オレが真芽をからかったのがきっかけになったんだな。

あの時、三男 豆蔵は勢いよくはじけた。地面でポ~ンとバウンドした。

転がり弾んだところを見つけたのは、婆さん。
「なんと威勢のいい豆じゃ。珍しい! なにか金目のものと交換してやろう。ひっひっひ。」
通りかかったのは、牛をつれたジャックという若者だった。母に言われて、牛を売りに行く途中である。
「ちょいとそこのお兄さん、この珍しい豆とその牛を交換しませんか?お得ですよ。ひっひっひ。」
金でなく、豆を持ち帰ったジャックは、怒った母親にその豆を捨てられてしまった!

朝になり、ジャックはビックリ \(◎o◎)/!
なんと、大きな豆の木が目の前に出現していたのだ!
昨日母が捨てた豆が芽を出し、ひと晩のうちにこんなに大きくなっていた。

ジャックがこの豆の木を登っていくと、城があった。

そこには金貨・銀貨の入った袋が積まれ、虹色の卵を産むニワトリがいる。

これらを盗んで、家に下り帰ろうとしたとき、この城の主(あるじ)に見つかってしまった。
追いかけてくる主! ジャックは、まだ追ってくる主を見て、自分から上の幹をなぎ倒した! 

が、豆の幹とともに、金貨・銀貨の入った袋や、虹色の卵を産むニワトリもどこかへちりじりに落ちていってしまった。

なぎ倒された豆蔵、いえ、豆蔵の幹は、縦半分に割れた。一緒に落ちてきたニワトリが、その上に乗った、地面に落ちていたちいさなちいさな豆をひと粒くわえて。 雨が降ってきた。ニワトリを背負った豆蔵は、水かさの増した川に流されていった。

一方、金貨・銀貨の入った袋はどうなったか?
ある農家の畑に落ち、そこの栽培研究の費用として、大変喜ばれたのである。

豆蔵は、つぶやく。
アンチャン、オレのカラダもバラバラになっちまった。
ま、土産を運んでいきゃぁ、だれかが使ってくれるだろ?

     ~~~まだまだ続く~~~20240127

2024年1月26日 (金)

「おなじさやのなか Ⅲ メジー」

豆次は流されながら、考えた。

俺はアンチャンを助けてきた。弟や妹の面倒も、見てきたつもりだ。そういうもんだと思っていた。
そういうもんだと思って、日々過ごしていた。

けどよぉ。俺はあの時から、流されていたんだ。こういうもんだと、流されていたんだ。
俺の人生、こうやってどんどん流されていくのか?

あの時、メゾーの勢いにのってしまい、メゾーを叩いてしまった。あろうことか、言葉がどんどん口をついて、シメの名前の由来までしゃべっちまった。
俺が冷静に弟妹の相手になっていたら、、、ちっとやそっとの風ぐらいで、さやがはじけ、みながバラバラになることはなかったのかもしれないのによぉ。

俺はいったいどこまでいくのだろう。。。

.

次男 豆次は、畑のそばにある川にころがり落ちた。川の水に流されていく。
そして、河口の平野へ流れ着いたのである。

あの時、アンチャンは言っていた。
「みんな自分のことばっか言ってんじゃねぇ!」
俺も、弟妹の面倒みてるふりして、実は自分のことが一番だったのかな。

「自分のことばっか言ってんじゃねぇ!」
というアンチャンの言葉を、頭の中でくりかえすうち、
 豆次は、平野で芽を出した。
海風のあたる厳しい条件下、いく季節も越え、どんどん増えた。

豆の野原になったとき、近くの工場長がふらりと現れた。仕事に行き詰まり、思案がてらの散歩である。
ここに実っている沢山の豆、缶詰にしてみよう! 

豆次の子孫は、缶詰になった。
長期保存できるうえに、大量生産で安価に手に入る缶詰は、街の人達におおいに喜ばれた。

いまや、まめまめ印のメジー缶とよばれて、有名だ。
コマーシャルの歌 ♪まめまめまめまめ~~~ メジー印の、メジー缶 ♪
も、知らない人はいない。

豆次は、空の上から自分の子孫たちが人々の役に立っているのを見て、思う。
アンチャン、俺、働いたよな。

   ~~~まだつづく~~~

 

 

 

 

2024年1月25日 (木)

「おなじさやのなか Ⅱ マメタ」

豆太には夢があった。

自分たちは畑で大切に育てられているサヤエンドウだ。5つぶがみんな大きく立派な実となって、住んでるサヤもつやつやピカピカのまま収穫され、レストランへ売られること。そして美味しい料理の仲間となって、皿に盛り付けられるのだ。

そう思っていた。

なのに風に吹き付けられただけでサヤが傷つきこわれて、5兄弟みなはじけ飛んでしまうとは。
いや。あのとき、いさかいなどせず5つぶが心合わせ踏ん張っていたら・・・・・・もしかしたら今頃まだ蔓に残っていられたのかもしれない。

このとき、農家の人が豆の収穫にやって来た。
「まいったなぁ。あの嵐でサヤエンドウがほとんどやられてしまった。。せめて残っているのを収穫して売りに行こう。」
「お。これは立派な豆だ。サヤからはじけて飛んでしまったんだな。はじけなければ立派なサヤエンドウだったろうに。」
と、土の上に落ちていた豆太を拾い上げた。

.

長男の豆太は、農家の人に拾われていった。
そして農家で夕食に、なったのではない。あまりにも立派な豆だったので、農家の人は豆太を種にして、なんとかこの豆と同じような立派な豆を多く作れないものかと考えた。他の国では、豆の交配実験をしている学者がいるそうだ。うちでも。。。!

しかし実験栽培にはお金がかかる。はて、どうしたものか。。。

と、悩んでいたある日、不思議なことに、巨大な木が生えており、そこから金貨・銀貨の入った袋が落ちてきたのである。

その農家は、落ちてきた金貨・銀貨を元手に、次の季節から豆の栽培を始めた。試験栽培場もつくられた。

何年かの研究改良栽培後、豆太の子孫は増え、MAMETAブランドとなって市場に出回り、高く売られるようになったのだった。

MAMETAブランドの祖、豆太は空の上から子孫を見下ろしながら、いつも思う。
あれからメジーたちはどうなったろう。。。おーい、アンチャンは、ここにいるぞ。

   ~~つづく~~

 

2024年1月19日 (金)

「おなじさやのなか Ⅰ はじまり」

【出演】豆太(まめた):長男、アンチャン
    豆次(まめじ):次男、メジー、言葉で伝えたい派
    豆蔵(まめぞう):三男、メゾー、いたずらっ子
    豆〆(まめしめ):四男、シメ、真面目
    真芽(まめ):長女、マメ、まだうまくしゃべれない

豆〆:あんちゃ~~~ん、またメゾーがマメを泣かせてますぅーーーっ!
豆太:おう。もうほっとけ。
豆〆:いっいいんですかぁ、マメが怪我しますよ。
真芽:ぅぇ~~~っえっえっ、ひょぉーーーん、たいっ、たいよ~~、あたまたいよぉ~。
豆蔵:ケッケッケ、こんなぐらい痛いか、ばーか。おれなんてな、いっつもメジーにたたかれてんだ。
豆次:メゾーがマメをからかうからだろ、ちっちゃい妹を泣かすな!(ポカッ✋)
豆蔵:痛い!ほらな、おれよりちょっと早く生まれたからって、えらそうにすんな。
豆〆:そうですよ、たたいちゃいけません、たたいちゃ。
豆次:シメは黙っとけ。だいたいな、おれたち、このさやのなかは三兄弟で十分、って言ってたのによぉ。。メゾーはちょかちょかして手がかかるし。そこへお前が生まれてきたわけよ。で、これでおしまいになるようにってアンチャンが豆〆って名付けたんだ。
豆〆:迷惑かけないよう、真面目に生きてますがなにか。
豆蔵:そしてまたまたマメが出てきた!
真芽:まめまめ~~~~。(^○^)
豆蔵:まめまめ~~~~、ってなんだよ、まめまめ~~~~って。(ペチッ✋)
真芽: ぅぇ~~~っ、ひょぉーーーん。
豆太:おーーい、いい加減にしないか! アンチャンは、おまえたちに水と栄養を配らなくちゃならないんだ。豆次までいっしょになってなにやってんだ!
真芽:やってんだ。(^○^)
豆次:ちぇ。おれっていつも損な役まわり。。。いっつもアンチャンの手伝いしてるのにさ。
豆蔵: 損と言えばおれだろう。いっつも怒られてばっかで!
豆〆:僕でしょ、真面目に暮らしているのに。あれ?陽がかげってきましたね、水と栄養だけじゃ、僕たち大きくなれません。
豆太:んだとぉ~(-_-メ)、あのな、おなじさやの中で暮らしてて、みんな自分のことばっか言ってんじゃねぇーーっ!!

五つぶの豆達はそれぞれ、さやの中でビビビと揺れました。

とこの時、大きく風が吹きました。
二度三度と横殴りの風が追いました。

兄弟たちの住むさやは、隣のさやにぶつかって、ぴきっと傷がつきました。
さやは、やまない風に吹きつけられ、ついに、はじけてしまいました。

♪ ほんの ちいさな できごとで~~ さやは 傷、ついて~ ♪

.

オーレ・ルゲイエが子どもたちに夢見せてくれた、ひとつのさやに住んでいる青いえんどう豆の話。20240119
こんなだったのかどうなのか? 続きはまた。

おりしも、隣の畑にエンドウ豆の苗。
凍った土を耕して、農家では早くも春を見ておられます。 

 

2023年12月24日 (日)

「めんどりの足に愛を語る」

「ねぇ、今日はいよいよクリスマスイブだね ♪」
とおんどりが言った。

「クリスマスイブまで待てば、これから先もまた君といっしょに同じところに行けると信じていたんだ、やっぱ僕たちは赤い糸で結ばれていたんだよ。わかるかい?」

「まぁぁ、、、そう、、いっしょにいるわね。でも私、あなたとはちょっと身なりが違うわ。」

「まだそんなことを言っているのかい? いいかな? 何度も言ったことだけどよく聞いて。同じ鶏舎に生まれた僕たちは、同じものを食べ、りっばなおいしい肉になるよう育てられた。そして、同じ日に同じ工場へ運ばれていったよね。」

「ええ、覚えているわ。」

「工場へカタチをととのえられ、味をつけられ、熱をあびた。」

「そうね。でもあなたとは、工場内のレーンもちがってたわ。」

「それはそう・・・なんだけど、工場へ行った時から思ってたんだ、僕たちはクリスマスに食べられるおいしいチキンになるんじゃないか、ってね✊。そのために胴からは独立して、足だけになったんだ。」

「いままでのところ、あなたの推理は当たっていたわね。今こうして同じ店の店頭にならんでいるもの。でも私は別の味、別名のローストよ。これから同じ人が買っていくとは思えない。」

「そんなことはないよ、クリスマスだもの!僕たちは赤い糸で結ばれている。いっしょに買っていく人がいるよ。」

.

小さなお客さん「ナナチキください!」
そのお母さん 「ちがうのよここは、ナナチキじゃ・・・」
店員さん   「いらっしゃいませ(*^-^*)、ファミチキですね。ありがとうございます。」
お母さん   「すみません。。。。。」
店員さん   「(*^-^*) おひとつでいいですか?」
お母さん   「じゃ、同じものをもうひとつ。」
店員さん   「ありがとうございました。(*^-^*)」

.

と、おんどり、いえ、おんどりの足は、別の足といっしょに、小さな子の家へ運ばれていったのだった。

めんどり、いえいえ、てかてかとローストされためんどりの足は、ファミチキとは別の段に並べられたまま、買いもとめ運んでくれる別のだれかを待っている。
「わたくし、別のレーンでつくられましたの。」
と心の中でつぶやきながら、糸の切れる音をうなづきながら聞いた。20231122

.
オーレ・ルゲイエが子どもたちに夢見せてくれた「メンドリの足に愛をささやいたオンドリの足の話」。どんな話なんだろうと考えてみたらこうなりました。まさかアンデルセン時代にコンビニはなかったでしょうけど(^_^;)。

「ナナチキください!」以後のくだりは、去年のノンフィクションです。(カウンターにのりだして注文した子がかわいかった♡)

  Merry X'mas !!

*追記:①コンビニでのチキンの製造方法やそのルートに関しては、話を考えた私は知りません。想像です。
    ②先程ケーキを買いに行ったコンビニで確かめたら、ローストチキン(ファミチキより少し大きめ)はファミチキより高値でした。

 

2014年3月31日 (月)

梅太郎 (2)

おばあさんが、梅干しの種をごみ箱へ放り投げようとしたそのとき、

「捨てないで!」

どこからか小さな声がしました。

「捨てたらあかん。ぼくやで、ぼく。ほら、ばあちゃんの手ぇのなかにある、梅干しの種やで。」

おばあさんは自分の手指を開げてみました。 捨てようとしていた梅干しの種をよく見ると、なんと、目があり鼻あり口あり耳もあり。シワだらけのその顔が、こっちを見て、にっかぁと笑っているではありませんか!

ひょ・えーーーーー。びっくりしたのなんのって。世の中、こんなことが、あるのかい?おばあさんが、驚きのあまり、カタマッテおりますと、梅干しの種はさらにしゃべりつづけます。

「ぁ。名前はじいちゃんと相談してつけてもらわんでもええで。じいちゃんは、散歩疲れで昼寝中、やろ? もう自分で決めてるねん。梅太郎や。どうや?そのまんまやろ?覚えやすいやろ?」

  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 。

「なんや。まだカタマッテるんかいな。 どや? ぼくを育ててみぃひんか? 育て方は簡単や。水を飲ませてくれたら、そんでええ。 そしたら、顔のしわもなくなって、手ぇや足や胴がはえてくるんや。ただし、水はきらさんといてや。 そうやないと、まただんだん小さくなって、元の種にもどってしまうさかいな。」

梅太郎は、そう言いながら、またにっかぁと笑いました。

水かいな。水だけでええんやな。おばあさんは、すこし安心してつぶやき、梅太郎を育てることにしました。とは言っても、毎日、梅太郎に水を飲ませたのはおじいさんなんですけどね。

さて、毎日、水をがぶがぶ飲んで、梅太郎はりっぱな若者になりました。 

「おじいさん、おばあさん、ぼくをこんなに大きく育ててくれて、ありがとう。ぼくは悪い奴を退治しに行きます。」

と言うと、おばあさんは

「そんなん行かんでもええ。悪い奴は悪い奴で、勝手に悪いことしといたらええのや。そのうちバチ(罰)があたるやろ。 それよりもな、給料のええとこに就職して、なんか買(こ)うてぇな。ひょっひょっひょっ。」

このあばあさんは、ものぐさばあさんでしたが、欲深ばあさんでもありました。

「そっかー。退治よりもモノ、ですね。」 (^0^)/

と、おとなになった梅太郎は納得しました。 持ち前の個性を生かして、全国規模の有名梅干し店に就職し、おばあさんのため、家をリフォームしてランドリー室をつくり、おじいさんのため、サウナ付トレーニングルームをつくりましたとさ。    

めでたしっ。

より以前の記事一覧