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  • 2011627

Story

2014年3月31日 (月)

梅太郎 (2)

おばあさんが、梅干しの種をごみ箱へ放り投げようとしたそのとき、

「捨てないで!」

どこからか小さな声がしました。

「捨てたらあかん。ぼくやで、ぼく。ほら、ばあちゃんの手ぇのなかにある、梅干しの種やで。」

おばあさんは自分の手指を開げてみました。 捨てようとしていた梅干しの種をよく見ると、なんと、目があり鼻あり口あり耳もあり。シワだらけのその顔が、こっちを見て、にっかぁと笑っているではありませんか!

ひょ・えーーーーー。びっくりしたのなんのって。世の中、こんなことが、あるのかい?おばあさんが、驚きのあまり、カタマッテおりますと、梅干しの種はさらにしゃべりつづけます。

「ぁ。名前はじいちゃんと相談してつけてもらわんでもええで。じいちゃんは、散歩疲れで昼寝中、やろ? もう自分で決めてるねん。梅太郎や。どうや?そのまんまやろ?覚えやすいやろ?」

  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 。

「なんや。まだカタマッテるんかいな。 どや? ぼくを育ててみぃひんか? 育て方は簡単や。水を飲ませてくれたら、そんでええ。 そしたら、顔のしわもなくなって、手ぇや足や胴がはえてくるんや。ただし、水はきらさんといてや。 そうやないと、まただんだん小さくなって、元の種にもどってしまうさかいな。」

梅太郎は、そう言いながら、またにっかぁと笑いました。

水かいな。水だけでええんやな。おばあさんは、すこし安心してつぶやき、梅太郎を育てることにしました。とは言っても、毎日、梅太郎に水を飲ませたのはおじいさんなんですけどね。

さて、毎日、水をがぶがぶ飲んで、梅太郎はりっぱな若者になりました。 

「おじいさん、おばあさん、ぼくをこんなに大きく育ててくれて、ありがとう。ぼくは悪い奴を退治しに行きます。」

と言うと、おばあさんは

「そんなん行かんでもええ。悪い奴は悪い奴で、勝手に悪いことしといたらええのや。そのうちバチ(罰)があたるやろ。 それよりもな、給料のええとこに就職して、なんか買(こ)うてぇな。ひょっひょっひょっ。」

このあばあさんは、ものぐさばあさんでしたが、欲深ばあさんでもありました。

「そっかー。退治よりもモノ、ですね。」 (^0^)/

と、おとなになった梅太郎は納得しました。 持ち前の個性を生かして、全国規模の有名梅干し店に就職し、おばあさんのため、家をリフォームしてランドリー室をつくり、おじいさんのため、サウナ付トレーニングルームをつくりましたとさ。    

めでたしっ。

2014年3月30日 (日)

梅 太 郎 (1)

むかしむかし、ちょいむかし。

あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。 

.

ある昼下がり、いつものように、おじいさんは山のほうへウォーキングに、おばあさんは隣のコインランドリーへ、朝セットした洗濯物が乾いてるかどうかを見に行きました。

ところで、おじいさんは、ウォーキングしながら梅干しを食べるのがひそかな楽しみでありました。ウォーキング中に汗で失われた塩分も補給できます。 食べ物が口の中に入っていると、ただひたすら歩き続ける物足りなさもまぎれるというものです。え? 面白くないなら他のことをやりゃあいいって? まあまあまあ。おじいさんは、生活習慣病にならないようとても気をくばっていたのでした。

ところで、コインランドリーに行ったおばあさんは、身体を動かすのがキライでした。できることなら、じっとしていたい。。。それならなぜおばあさんは、コインランドリーまで歩いて行くのでしょう? それは、洗濯物を洗濯機からよっこらしょと出して、2階のベランダまで洗濯カゴ持って階段を上り、ひとつずつ湿った洗濯物を取り出し、腕を上にあげて干す、という工程を行うのが、コインランドリーへ通うよりも面倒だーと、おばあさんは思ってたからでした。家の中にコインランドリーがあればいいのに! そしたら、ふわっと乾いた衣類をランドリーから取り出すだけで、即、着られる! なんてすばらしいことでしょう! おばあさんは、いつもそう思っていました。

ある日、おばあさんが隣のコインランドリーで乾いた洗濯物を取り出していますと、ポロっとなにかが床に落ちました。いつものおばあさんなら、床に落ちた小さなものを、わざわざ腰をかがめて拾うなんていう超面倒なこと、するはずがありません。けれどその日は、拾ってみようかねぇ、ふとそう思ったのでした。

おばあさんが床からつまみあげた小さなもの。赤くてかたいもの。

そう。それは、おじいさんのズボンのポケットから落ちた梅干しの種でした。

もう、なんでおじいさんは梅干しの種をポケットに入れたままにするんだろう。ウォーキングから帰ってきたら、梅干しの種はごみ箱に入れてといつもいつも言っているのに・・・・。捨てちゃうよ! と、おばあさんが、梅干しの種をランドリーの隅にあるごみ箱へ放り投げようとしたそのとき、

                              (つづく)

2013年10月 7日 (月)

『らくだくん』

ある森の中、淋しいときに笑うらくだがいました。
らくだくんは、ちからもちでとっても心がやさしいのに、どういうわけか、森の中のだれひとりとして仲よくしてくれる動物はいないのでした。


らくだくんは、ひとりぼっちでした。

ある日、らくだくんは旅に出ました。
(きっとどこかに、ボクのともだちになってくれるひとがいるにちがいない。そうだ。さがしに行ってみよう。)
そう思ったからでした。

らくだくんは、てっくりてっくりと森の中を歩いていました。すると、原っぱで草を食べている二匹のウマに出会いました。らくだくんは、いそいそと二匹のウマに近づいていって、
  「こんにちは。」
と、言いました。らくだくんを見ると、二匹のウマはしばらくひそひそと何かを話していましたが、突然、ぱっとやぶの中へ走っていってしまいました。
  ああ。また・・・・・。
らくだくんはそう思いながら、
  は・は・は
と、ひくく笑いました。心の中ではとっても淋しかったのですけれど、自分でも知らないうちに笑ってしまうのでした。そして、らくだくんはまた歩きはじめました。

  てっくり てっくり てっくり てっくり

ひとつ川をこえたところに、大きなクルミの木が立っていました。らくだくんは朝からまだなんにも食べていなかったのでとてもおなかがすいていました。それで、クルミを食べようとして首をのばし、葉っぱの中に顔をつっこむと、そこにはリスが小枝にちょこんと腰を掛けてクルミを食べているところでした。
  「こんにちは。」
らくだくんがそう言うと、リスはおどろいたようにまるい目をもっとまんまるにして立ちあがったかとおもうと、するすると木のてっぺんまでかけあがり、となりの木へと逃げていってしまいました。
  ああ。 また・・・・・。
  は・は・は
淋しいけれど、やっぱり口もとが笑ってしまいます。そうしてまた、らくだくんは歩きだしました。

  てっくり てっくり てっくり てっくり

どんどん歩いていきますと、青く澄んだ池がありました。らくだくんは、のどがかわいていたので水を飲もうと水面に顔を近づけました。 そこには、フナの群れがきもちよさそうに泳いでいました。
  「こんにちは。」
こんどもらくだくんはそう言いました。いきなり見たこともない大きな顔が近付いてきたので、フナたちはびっくりしてあるものは遠く、あるものは深く、四方八方にちらばって泳いでいき、とうとう一匹も見えなくなってしまいました。
  ああ。 また・・・・・。
  は・は・は
けれど、やっぱりらくだくんは歩きつづけました。

  てっくり てっくり てっくり てっくり
  てっくり てっくり てっくり てっくり

そんなふうに、いくつ夜をこえたでしょうか。
あれかららくだくんは、九つの森と四つの湖と七つの原っぱを歩きつづけてきました。けれど、らくだくんは、やっぱりひとりぼっちでした。

ある昼下がりのこと。てっくりてっくり歩いていますと、いままでつづいていた森が急にとぎれて、らくだくんは、いままで見たこともないほど広いところにでてきたのです。

そこは、砂漠でした。 
らくだくんは、砂漠のまんなかに立ちどまって、あたりを見まわしました。
誰もいません。
空と おひさまと 砂しか、ありません。
らくだくんは、なんとなくなつかしいきもちがして、いままで何度言ったかしれないことばを、ぽつりと、つぶやきました。
  「こんにちは。」
おひさまはやさしくわらってくれました。砂はとってもかわいていましたけれども、さらさらとあたたかくらくだくんの足のうらをくすぐっています。

 
ほんのすこしのあいだ、らくだくんは、おひさまのベールをかぶって、あたたかい砂にすいついてしまったかのようでした。

そして風がとおりすぎ、
らくだくんは、パラパラと砂にとけてしまったのでした。

 

という話を、学生の頃に書きました。 それを、みんなで紙芝居にして、ある幼稚園で、後輩が語ってくれました。 なにがなんだかわからないっていうポッカ~~ンとした顔して(そりゃそうだ!)、それでも園児たちは言ったものです。
「らくだくん、かわいーーーーheart04。」
そう言ってくれた当時の園児達は今・・・・・(計算しております)・・・・・いまっ、アラフォー世代だーー。 今だったら、少しは。。。。。coldsweats01。 

(注) 「らくだくん」は、フィクションですthink。 
    BUT、この話を幼稚園で披露したって話は、ノンフィクションですconfident
                    

2012年1月 1日 (日)

ぴかぴかの恩返し

むかしむかし。

半年ほどむかし。

女が暗がりで言うたんじゃ。

彼女達を、ぐつぐつ煮るのですよ。 ぐつぐつぐつぐつ・・・・。 そして、決して中を見てはなりません。 彼女達がどうなったのかと、さぞかしとちゅうで気になることでしょう。 けれど、とちゅうで気になっても、けっしてフタを開けて見てはなりません。 冷めるまで待つのです。 フタを開けるのは冷めてから。 冷めてからですよ。 誘惑に負けてとちゅうでフタを開けてしまったら、彼女達は身体じゅうがシワだらけに小さく縮んでしまうでありましょう。

と。

半年後の昨日。 私は女の言いつけを守り、彼女達を鍋で煮た。

ぐつぐつぐつぐつ、ぐつぐつぐつぐつ。 鍋からは湯気がたち、部屋には独特の匂いがこもる。 開けて見たかった。 彼女達は、灼熱の鍋の中でいったいどうなってしまったのだろう。 しかし私は耐えた。 ここが肝心。 ここが肝心である。冷めるまで、時の経つのがもどかしい。 そしてついに、鍋はしっかりその温度を下げ、私はいよいよフタに手をかけた。 どうなっているのか、彼女達。 

そろりとフタを開ける。

そこには、ぴかぴかに光っている美味しそうな彼女達がなべ底に並んでいた。 

成功だ! 黒豆煮。 2012

彼女達とは、丹波の黒豆。 女とは、半年前の同僚。 暗がりとは、職場の片隅。 節電対策で、昼休みは照明が切られていたのだー。

おいしそうにできたことshine。 ぴかぴかな紫がかった黒い豆。 初挑戦。 おせちの黒豆煮。

・・・・・と思いきやっ、

下の方の豆に、シワがひと筋!

あの一瞬がいけなかったのかっ。

じつは、一度だけ、開けてしまった、鍋のフタ。 あの一瞬が、彼女にシワをつくってしまったのだぁ。 彼女は言った。

「見たなあ2012_2sign04sign04sign04。しかし、こんどばかりはゆるしてやろう。 私の仲間があま~く煮えた恩返しだそうじゃよ。ふっふっふ。」 

【 マメ知識】 黒豆を煮るとき、熱いうちにフタを開けてしまうと、鍋の中の温度が急に下って、豆にシワができるのだそうですよ。

2010年8月 9日 (月)

つるつるの恩返し③

与平は、つうとの約束を忘れたわけではありません。 けれど、正直者の性(さが)。 自分の心にウソはつけません。 部屋の戸をそぉ~~っと開け、片方の目で布織り部屋をのぞきますと、、、、

ああ、なんということでしょう!

つうは鏡に向かい、コラーゲン満タンしっとりフェイスマスクをその顔にセットしようとしていたところでした。 マスクをつけようとしていたつうのスッピン顔は、与平よりもあきらかにずっと前に生を受けていたことを物語るのに充分でした。 フェスマスクからは満タンのコラーゲンがしたたり落ち、ていねいに織られた布もしっとりうるおって、独特の美しい光沢を醸し出しています。 どこにもない手触りつるつるの布なのでした。 見た目だけでなく、なにしろコラーゲンたっぷりの布ですから、この布でつくった着物を着た人はお肌つるつるになるという不思議な布なのでした。 なるほどこれは市場で高く売れるはずです。

与平に織り姿をみられてしまったつうは哀しげに言いました。

「あれほど見ないでくださいと頼みましたのに。。。。 素顔を見られてしまっては、もうここに居ることはできません。」

つうはそう言ったかと思うと、鶴の姿になり山へ帰っていきました。

「もっとあの布を市場で売りたかったー。レアもんだったのに。」

あとに残された与平は、つうの織った布を胸に抱きしめて泣きました。

かどうかは、知りません。 

だって私、よひょーじゃないしthink。。。。。           (完)

                                               

2010年8月 8日 (日)

つるつるの恩返し②

さて部屋にこもって布を織っている女は、名をつうといいました。 つうは3日3晩織り続け、やっと布が織りあがりました。 その布は、端から端までため息の出るような美しい仕上がりでした。 それにもまして与平が驚いたことに、部屋から出てきたつうは前よりも美しく若そうになっていました。 

「こ、これはどうしたことか。 飲まず食わずで布を織り続け、まして眠ってもいないのに、こんなに美しい布を織りあげるとは! そして、栄養も水分も睡眠もとらなかったのに、つうがより美しくなっているとは!」

そんなこんなを思いめぐらしながら、与平はその布を市場へ売りに出かけました。 それはそれは美しい布でしたので、その布はとても高く売れました。

つうが布を織り、与平がそれを市場で売る。 そんな生活が続きました。 

けれど与平は不思議でたまりません。 つうはどうやってあの美しい布を織っているのか。 そして、布を織るたびにつうはどんどん美しく若そうになっていく。 布を織っているときは絶対に部屋をのぞいてはいやだとつうは言うけれど、ひとめでいいから、つうが布を織る姿を見てみたいものだ。

与平のこの思いはどんどん大きくふくらんでいきました。 与平は、根が正直ものでしたから、自分の心に嘘をつくこともできません。 

そして。 

そしてついに、布織り部屋の戸をそぉ~~~~っと開けてしまいました。 

すると、なんということでしょう! つうは、

      (と、ここでもったいつけたいから、またもや続くpaper。) 

2010年8月 7日 (土)

つるつるの恩返し

むかし。

あるところに、与平という男が住んでいました。 与平は働き者で正直者でした。 

雪の降るある日、仕事場へ行こうとチャリを走らせておりますと、川の淵で一羽の鶴がワナにかかってもがいておりました。 動けば動くほどワナは鶴を締めつけます。 男はとてもかわいそうに思いました。

「じっとしていなさい。 いま助けてやるからなあ。」

助けてやると、鶴は山に飛んでいきました。 

しばらくたったある晩。 男が仕事から帰ってきて家でビールなんぞ飲んでおりますと、 玄関ドアをたたく音がしました。 

「こんな夜更けにだれだろう。」

男がドアを開けますと、美しく若そうな女が立っていました。

「雪が深くて道に迷ってしまいました。 バスも電車も最終過ぎてしまったことですし。。。どうかひと晩泊めていただけないでしょうか。」

「ご覧の通り質素な家ですが、よろしかったらどうぞ。」

次の日も、また次の日も雪が降り続きました。 何日かたったある日、美しく若そうな女は 男に言いました。

「私は布を織りたいと思いますrock。 糸を買ってきてくれませんか?」

男はさっそく糸を買ってきました。布を織り始めるとき、美しく若そうな女はこう言いました。

「布を織っているあいだは、け・・・・・・・・・・・・・っして部屋をのぞかないでください。」

「わかりましたよ。けっしてのぞきませんよ。すばらしい布を織ってくださいね。」

若そうな女は部屋に閉じこもり一日中布を織り始めました。 夜になっても出てきません。 次の日もまたその次の日も、若そうな女は布を織り続けました。男は正直ものでしたから、女との約束を守り、布を織る音をただ聞いていました。

                    ≪眠くなったのでつづくsleepy