大 亀 谷
大亀谷というのは、私の実家のある地域です。
この地域名が、本を読んでいると出てきました。
『小説集 明智光秀』
菊池寛や新田次郎・柴田錬三郎などによる光秀の短編小説・脚本が12。
そのなかでも面白いなぁと思ったのが山田風太郎「明智太閤」でした。本能寺直後からの話。
信長が討たれたという一報が、お茶々によって、なんと毛利へも知らされたところから始まります。対陣する秀吉が策を弄している間に毛利が秀吉を責めてきて、秀吉は敗走。信長方だった武将たちも救援せず皆こう言う。
「秀吉どの、一日遅かった!」
家康も堺から逃げる途中で殺される。明智光秀は太閤となり泰平の世となる。5年後、光秀の愛妾となった淀君と、娘の伽羅奢が下京にある南蛮寺を訪ねたとき、猿曳きとなった秀吉が近づいてくる場面も。
最後の場面。ここが、大亀谷です。
_____ いまにも前足を折りそうな駄馬にのって、老猿曳きが、大亀谷を伏見の方へ、とことこ駈けていった。本人もいまにも落馬しそうな姿だ。・・・じめじめとぬかるんだ路は小栗栖に入っている。・・・闇のなかで、夢遊病者のような声がきこえた。
「明智太閤!明智太閤!天運はあいつにーーー」
という、以上の話は、最期、小栗栖へ向かう途中(大亀谷あたり)で土賊に襲われる直前まで続いていた、やはり、ほかならぬ光秀の夢想・幻想・妖想なのでした。
秀吉の帰京があと1日遅かったらという仮定のフィクションだと思いつつ読み進めていった最後の場面で、どんでん返し! 天外で面白かったです。
調べてみると、光秀が土賊に襲われたとされる明智藪は、実家の少し東南のようです。そこに行くまでに通った大亀谷とは、今のどのあたりかなぁと思いながら、実家や老母のいるホームへの道を走って🚙おります。(文中の、大亀谷・伏見・小栗栖の位置関係に、元地元の私としては違和感ありますけども。。。。
(^-^; )
*『小説集 明智光秀』 作品社
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