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2020年3月 9日 (月)

『長いお別れ』~『恋人たちはせーので光る』

久々に、小説を読みました。中島京子『長いお別れ』。Kimg0527

もと中学校の国語教師・校長、図書館長だった父。その父が認知症となり、三人の娘や妻(妻)・孫たちが、戸惑い混乱しながらも、試練を乗り越えてゆくという、今の私にとってはちょっとツライ話。介護あるあるで、くすっとできる部分もあってたすかりましたが。

私の母は認知症なのかどうか、今後の介護生活で必要となるまでは検査せず、時の流れ・母の老化に逆らわないようにとは思っていますが、なんだか、この小説の中に、身につまされる箇所が多々あり、一気に完読。

この本で知ったことですが、アメリカでは、認知症のことを「長いお別れ(ロンググッドバイ)」というのだそうです。少しずつ記憶を失くして、ゆっくりゆっくり遠ざかっていくから。話の中で、父親が認知症とわかってから本当にグッドバイするまで約9年、だったかな。

先日、私の母の介護認定度が変わったときの話合いで、ケアマネージャーが
「それでは、これから、私達と長い期間を乗り気っていきましょう。」のようなことをおっしゃってたっけ。
長いんだな。
今の私に、パニクらず感情を高ぶらせず、自分の心臓(CT精密検査を待ってもらってる)や腰部ヘルニアを落ち着かせながらの、母との時間の過ごし方、どうすればいいんだろうと、最近よく考えます。でも、私の言うことはほぼ否定し、ケアマネさんや理学療法士の方の言だと素直になる母。行動が読めない高次脳の弟。そのことも心の隅にあるのか、母のことを考えたり、母のそばに居たりすると、私の心がザラザラしてきて、自分の心のありようがとても不快になります。

本を読んでたら、こんなことも書いてあありました。

____親の病気に、娘たちは罪悪感にとらわれる。介護にはつねにこの、申し訳ないという気持ちが付随する。親をきちんとみていなかったこと、いまの自分の生活ばかりを優先して、老いた両親のことを大事にしていなかったこと。

ああ。これもあるなぁ。これも、私の心にザラザラと音をたてます。

ところで、

偶然なんですが、図書館に予約していた最果タヒ『恋人たちはせーので光る』も順番がきました。詩集を読むのは何年ぶりでKimg0528 しょ。『長いお別れ』のあとに読むと、こんな言葉や数行が切り取られて、私の心に飛んできました。言葉の表記や句読点や改行なども作者が意図した詩の一部であることを承知の上、ごめんなさいと思いながら、飛びこんできた言葉を書いてみたいです。

___ 

いつだってどこかで、だれかがしんじゃっているのが日常だ、
それがないとたぶん、時間すら進まないんだろう。しぬたび
に、時計が動いている。ぼくの期待している明日が来る。そ
してまたどこかでだれかがしんじゃうんだろう。

森の木漏れ日をみるとぞっとするね、
いましんだひとたちが光になって集まっているみたいだった。
森の奥にいけば、光だって喜んでもらえるだろうと期待して、
蛍みたいに箱に入れられるんだとしても、
それでもそれがいいんだってみんな言って、
結局だれがだれかわからない。だれがだれかわからないまま、
夜に溶かされ消えていく。

_____

この時間を私ときみが忘れても、この星は忘れない、
わたしたちは生ぬるく溶け合い、いのちといのちで撫であって、
肯定も否定もないまま生きていけること、未来に証明できてしまう。
死ぬよ、いつかは。咲かなくても花は、ちゃんと死ぬよ。

_____

時間にすら置き去りにされることが結構あるよ、
未来などないなかをぐるぐる回っていきることもあるよ、
その瞳が見ているのが8割ぐらい前世であればいいな、

題名や前後の言葉を無視して、飛びこんできた言葉だけを取り出したら、意味が変わってきますね。ごめんなさい。でも、

___  何かを伝えようとしている、何かを見つめようとしている、そうやって思いをはせることはできても、目の前のその人が、本当に
言おうとしたことを完全に理解することなんてできない。でもそれが、人を、ひとりきりのままでも息ができるように、無数の人が行き交うこの場所で、息ができるようにしているのかもしれない。

なんていう作者のあとがきに甘えてしまおうと思います。久しぶりの小説で少し考え、久しぶりの詩集でいま、息をしています。


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コメント

おひるねおかんさんへ_____。

ありがとう。
そうやね。
無理をしても、無理やね。

そう思ってる人が多いこともあって、小説になるんやもんね。

こんばんは。

親のことを考えると
自分のことが優先で
会話も 十分にはできてなかったな。。。
ごめんね。。。と思うことばかりです。

でも できることを するしかないもんね。
無理をしても 無理やもん。。。。


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