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2013年10月 7日 (月)

『らくだくん』

ある森の中、淋しいときに笑うらくだがいました。
らくだくんは、ちからもちでとっても心がやさしいのに、どういうわけか、森の中のだれひとりとして仲よくしてくれる動物はいないのでした。


らくだくんは、ひとりぼっちでした。

ある日、らくだくんは旅に出ました。
(きっとどこかに、ボクのともだちになってくれるひとがいるにちがいない。そうだ。さがしに行ってみよう。)
そう思ったからでした。

らくだくんは、てっくりてっくりと森の中を歩いていました。すると、原っぱで草を食べている二匹のウマに出会いました。らくだくんは、いそいそと二匹のウマに近づいていって、
  「こんにちは。」
と、言いました。らくだくんを見ると、二匹のウマはしばらくひそひそと何かを話していましたが、突然、ぱっとやぶの中へ走っていってしまいました。
  ああ。また・・・・・。
らくだくんはそう思いながら、
  は・は・は
と、ひくく笑いました。心の中ではとっても淋しかったのですけれど、自分でも知らないうちに笑ってしまうのでした。そして、らくだくんはまた歩きはじめました。

  てっくり てっくり てっくり てっくり

ひとつ川をこえたところに、大きなクルミの木が立っていました。らくだくんは朝からまだなんにも食べていなかったのでとてもおなかがすいていました。それで、クルミを食べようとして首をのばし、葉っぱの中に顔をつっこむと、そこにはリスが小枝にちょこんと腰を掛けてクルミを食べているところでした。
  「こんにちは。」
らくだくんがそう言うと、リスはおどろいたようにまるい目をもっとまんまるにして立ちあがったかとおもうと、するすると木のてっぺんまでかけあがり、となりの木へと逃げていってしまいました。
  ああ。 また・・・・・。
  は・は・は
淋しいけれど、やっぱり口もとが笑ってしまいます。そうしてまた、らくだくんは歩きだしました。

  てっくり てっくり てっくり てっくり

どんどん歩いていきますと、青く澄んだ池がありました。らくだくんは、のどがかわいていたので水を飲もうと水面に顔を近づけました。 そこには、フナの群れがきもちよさそうに泳いでいました。
  「こんにちは。」
こんどもらくだくんはそう言いました。いきなり見たこともない大きな顔が近付いてきたので、フナたちはびっくりしてあるものは遠く、あるものは深く、四方八方にちらばって泳いでいき、とうとう一匹も見えなくなってしまいました。
  ああ。 また・・・・・。
  は・は・は
けれど、やっぱりらくだくんは歩きつづけました。

  てっくり てっくり てっくり てっくり
  てっくり てっくり てっくり てっくり

そんなふうに、いくつ夜をこえたでしょうか。
あれかららくだくんは、九つの森と四つの湖と七つの原っぱを歩きつづけてきました。けれど、らくだくんは、やっぱりひとりぼっちでした。

ある昼下がりのこと。てっくりてっくり歩いていますと、いままでつづいていた森が急にとぎれて、らくだくんは、いままで見たこともないほど広いところにでてきたのです。

そこは、砂漠でした。 
らくだくんは、砂漠のまんなかに立ちどまって、あたりを見まわしました。
誰もいません。
空と おひさまと 砂しか、ありません。
らくだくんは、なんとなくなつかしいきもちがして、いままで何度言ったかしれないことばを、ぽつりと、つぶやきました。
  「こんにちは。」
おひさまはやさしくわらってくれました。砂はとってもかわいていましたけれども、さらさらとあたたかくらくだくんの足のうらをくすぐっています。

 
ほんのすこしのあいだ、らくだくんは、おひさまのベールをかぶって、あたたかい砂にすいついてしまったかのようでした。

そして風がとおりすぎ、
らくだくんは、パラパラと砂にとけてしまったのでした。

 

という話を、学生の頃に書きました。 それを、みんなで紙芝居にして、ある幼稚園で、後輩が語ってくれました。 なにがなんだかわからないっていうポッカ~~ンとした顔して(そりゃそうだ!)、それでも園児たちは言ったものです。
「らくだくん、かわいーーーーheart04。」
そう言ってくれた当時の園児達は今・・・・・(計算しております)・・・・・いまっ、アラフォー世代だーー。 今だったら、少しは。。。。。coldsweats01。 

(注) 「らくだくん」は、フィクションですthink。 
    BUT、この話を幼稚園で披露したって話は、ノンフィクションですconfident
                    

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